肌がそれについていけなくなるのが、だいたいこのあたりなんですよね。
そして多くの方が、同じ行動に出ます。何か新しいものを買おうとするのです。
その気持ちは痛いほど分かります。でも、この記事でお伝えしたいのは逆のことです。いまは、足さないほうがいいかもしれません。
なぜそう言えるのか、数字を出しながら順番に書いていきますね。
INDEX
秋のゆらぎ肌は9月に入って急にやってくる

同じ時期に、こんな声が並びます。
・頬の赤みが増えてきた。何を買えばいいんだろう
・夜のスキンケアのとき、しみるようになった
・ガサガサというかゴワゴワというか、うまく言えない感じ
・混合肌なのかインナードライなのかゆらぎ肌なのか、自分でも分からない
・化粧水がなくなるタイミングだし、この機会に変えたほうがいいのかな
・湿気が多い日に、口のまわりだけ急にブツブツが出る
読んでいて、ひとつ気づいたことがあります。多くの方が、症状の話をとばして商品の相談をしています。肌に何が起きているのかは分からないまま、まず何かを買おうとしている。
そこを一度、止めてみませんか。
ゆらぎ肌とは肌に何が起きている状態なのか

そもそも「ゆらぎ肌」に、医学の病名としての定義はありません。季節の変わり目などに肌の調子が不安定になる状態を指す、日本の美容の言葉です。
では、その不安定さの正体は何なのか。ここからは、この記事なりの説明です。肌の表面には水分を逃がさない仕組みがあり、それが弱っている状態だと考えると、話がつながりやすくなります。
水分が逃げれば、その分だけ乾きます。乾いた肌は刺激を受けやすくなるといわれ、いつも使っていた化粧水がしみたり、頬が赤くなったりする。そういう順番で起きているのだろう、という見方です。
新しい化粧品でこの仕組みを一気に立て直せるわけではありません。むしろ、弱っているところに慣れないものを乗せると、刺激が増えることがあります。
秋にゆらぐ人が多いのはなぜか

「気のせいかな」と感じている方もいると思います。手がかりになる数字は、いくつかあります。
肌から水分が逃げていく量(経表皮水分蒸散量)と環境の関係を集めたレビューがあります。そのうち季節や環境を扱った11本のなかの1本に、額で測った数値が載っていました。秋は17.4、冬は18.2(1平方メートルあたり1時間あたりのグラム数)で、どちらも夏より意味のある差で高いというものです。
秋の時点で、すでに夏より水分が逃げやすくなっている。9月に入って急に、という感覚と重なる数字ではあります。
ただし、これは1本の結果です。レビューの総括のほうは「はっきりしない」でした。著者らは、季節や気候の影響について結果が食い違っており、合意に至っていないと書いています。「秋だから必ずこうなる」とは言えない、という前提で読んでくださいね。
もうひとつ、環境がどれだけ肌を動かすかを示す研究があります。韓国で、肌が正常な20代から50代の女性を対象に、暖房が効いた乾いた室内(25度前後・湿度20%未満)で過ごしてもらった試験です。わずか6時間でした。
顔(20人)では、皮膚の温度・毛穴・肌のざらつき・赤み・シワが、いずれも意味のある差として増えていました。著者らは、正常な肌の人でも、室内の環境に短い時間さらされるだけで悪い影響を受けるとまとめています。
この試験は1月から2月、湿度が低い冬に行われたもので、そのまま9月に当てはめることはできません。ただ、環境がこれだけ短時間で肌を動かすという点は、季節を問わず頭に置いておく価値があると思います。
なお、この試験では前腕(12人)でクリームを塗った側と塗らない側も比べていて、塗った側では水分量が上がっていました。保湿そのものは、足すのをやめる対象ではないということですね。
秋の肌荒れそのものがどう起きるのかは、▶︎秋も美肌でいたい!秋の肌荒れはなぜ起きる?で扱っています。
秋のゆらぎ肌か敏感肌か乾燥肌かを見分ける

VoCで多かったのが「自分がどれなのか分からない」という声でした。ここを分けておくと、やることが変わります。
ここからは、この記事なりの整理です。
| どんな状態か | いつからか | 考え方 |
|---|---|---|
| 季節の変わり目に不安定になり、落ち着くと戻る | 数週間の単位で行き来する | ゆらぎ肌。環境の影響が大きい |
| もともと刺激に弱く、季節に関係なく反応する | ずっと前から | 敏感肌。前提としてつき合う |
| つっぱる・粉をふく・かゆい | 冬に強く、夏はましになる | 乾燥肌。うるおいの補給が軸 |
| 赤み・かゆみ・ジュクジュクが続く | 数日たっても引かない | ゆらぎで片づけない。後ろの章へ |
重なることもあります。「もともと乾燥肌で、秋にゆらぐ」という方が実際にいちばん多いはずです。つっぱるのに昼はテカる、という方は、▶︎洗顔後はつっぱるのに昼はテカる|インナードライの見分け方と夏のケアのほうが近いかもしれません。大事なのは、いちばん下の行に当てはまらないかどうかです。
もうひとつ、迷いやすいものを挙げておきます。湿気の多い日に口のまわりだけブツブツが出る、という声がありました。こうした「決まった場所に、決まった条件で出る」ものは、季節のゆらぎとは分けて考えたほうがよさそうです。触れたものや、その場の環境が関係しているかもしれません。繰り返すようなら、いつどこに出たかを控えて皮膚科へ持っていってください。
秋のゆらぎ肌チェック|4つの質問で確かめる

表を見ても迷う方のために、質問の形にしておきますね。ここからは、この記事なりの整理です。
質問1|洗顔後や化粧水で、以前はなかったしみる感じがありますか
→ はい なら、いま肌の守りが落ちている合図です。次の章へ進んでください
質問2|さわると、ざらつきや粉っぽさがありますか
→ ある なら、乾燥が進んでいます。この記事の5つのうち2番と3番から
→ 見た目は普通なのにしみるだけ、なら守りが落ちている段階です
質問3|赤みやかゆみは、数日たっても引いてきませんか
→ 引かない なら、化粧品の話ではありません。「受診の目安」の章へ飛んでください
質問4|この2週間で、新しい化粧品を足しましたか
→ はい なら、まずはそれを、いったん止めてみましょうね
質問1と2に はい で、3が いいえ。この組み合わせがいちばん多いはずです。その方は、このまま読み進めてくださいね。
ゆらぎ肌のときに足してはいけないもの

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
アメリカのクリーブランド・クリニックは、化粧品には防腐剤や香料など肌を刺激したり乾かしたりしうる成分が入っていることがあるとして、新しいものは1つずつ試すようすすめています。肌が敏感な方には、耳のうしろやフェイスラインにエンドウ豆くらいの量をつけて、1〜2日待ってから顔全体に使うという確かめ方も示されています。
裏を返すと、肌が不安定なときに複数の新しいものを一度に足すのは、いちばんやってはいけないことになります。
そしてもうひとつ、見落とされがちな話を。アメリカ皮膚科学会は、「無香料(unscented)」と書かれた製品には、においを隠すための成分が入っていることがあると注意しています。選ぶなら「fragrance-free(香料不使用)」のほう、というのが同学会の案内です。日本語の表示でも、香りを消すための成分が入っているかどうかは分かりにくいところですね。
ここからは、この記事なりの整理です。
やりがちなこと
・調子が悪いので、話題の美容液を新しく足す
・化粧水も乳液もクリームも、まとめて変える
・効いている気がしないので、2〜3日で次を試す
そのかわりにできること
・新しいものは足さず、いま使っているものを続ける
・どうしても変えるなら1つだけ。1〜2日ようすを見る
・買うときは香料不使用のものを選ぶ
いま持っているものだけで秋のゆらぎ肌を立て直す

足さないなら何をするのか。アメリカ皮膚科学会が乾燥肌向けに示している内容が、そのまま使えます。
1|お風呂とシャワーを短くする
同学会は5分から10分に、ぬるめのお湯でとしています。熱いお湯で長く浸かるほど、肌の油分は落ちていきます。拭くときも、清潔なタオルでこすらずに押さえるように、と書かれています。
2|保湿は肌が湿っているうちに
タイミングが決め手です。同学会は、入浴やシャワーのあと肌がまだ湿っているとき、手を洗ったあと、乾きを感じたときに塗るよう案内しています。はじめの2つは、いずれも肌に水分が残っている場面ですね。
3|ローションよりクリームか軟膏を
軟膏やクリームのほうがローションより水分を与える働きが強い、というのが同学会の説明です。いま持っているものの中に、さらっとしたローションとこっくりしたクリームがあるなら、この時期はクリームの出番ですね。
4|部屋の湿度を上げる
加湿器を使うなら寝室に置いて寝ているあいだ動かす、そしてカビが生えないようこまめに掃除する、というところまで案内されています。
5|服を見直す
きつい服は肌にこすれます。ウールやポリエステルが直接あたるのも刺激になるとして、ゆったりした綿の服がすすめられています。首まわりのチクチクが気になる季節ですから、ここは見落とせないところですね。
秋のゆらぎ肌は、新しいものを買わなくても、この5つから手をつけられます。
どれから、と迷ったら。もともと乾燥肌の方は2番と3番、もともと敏感肌の方は5番、この時期だけゆらぐ方は1番と4番を先にどうぞ。効きどころが少しずつ違うんですよ。
秋の肌荒れが治まらないときの受診の目安

ゆらぎ肌という言葉は便利ですが、便利すぎて本当は診てもらったほうがいいものまで、その中に入れてしまうことがあります。
アメリカ皮膚科学会は、すすめられている対処をしても乾燥が続く場合は皮膚科医に相談をとしています。アトピー性皮膚炎や乾癬、腎臓の病気など、ゆらぎとは別のものが背景にある場合があるからです。
ここからは、この記事なりの整理です。下に当てはまるものがあれば、売り場へ行く前に皮膚科へ行ってください。
・赤みやかゆみが、数日たっても引いてこない
・ジュクジュクしている、皮がむけて痛い
・範囲がだんだん広がっている
・眠れないほどかゆい
・顔だけでなく体にも同じものが出ている
あれこれ試しながら待っているうちに、範囲が広がってしまうこともあります。迷ったら先に診てもらったほうが、結局は近道ですよ。
秋のゆらぎ肌の時期に脱毛はどうするか
ここまで、ずっと「足さないほうがいい」と書いてきました。脱毛についても、同じことを言います。
肌がゆらいでいる時期に、新しく脱毛を始めることはおすすめしません。刺激に弱くなっているところへ、慣れない施術を重ねる時期ではありません。
ラココでも、赤みやかゆみが強く出ている時期は、肌の状態によってはその日の施術をお受けできない場合があります。これは断っているわけではありません。肌を守るための線引きです。
落ち着いてからでまったく遅くありません。ラココでは、やわらかな産毛から、しっかりした剛毛さんの毛まで、痛みに配慮した光脱毛でケアしていきます。変化のペースには個人差がありますが、自己処理そのものが減っていけば、刃を当てる機会も自然と減っていきます。
いま通っている方で、この時期に肌の調子が気になっている場合も、我慢せずに伝えてください。肌が敏感になりやすい方や、今の肌状態で受けられるか不安な方は、まずカウンセリングで気軽に相談してみてくださいね。
秋のゆらぎ肌に関するよくある質問
Q. ゆらぎ肌用の化粧品に変えたほうがいいですか?
不安定なときに新しいものへ切り替えるのは、おすすめしにくいところです。クリーブランド・クリニックは新しいものを1つずつ試すようすすめていますので、変えるとしても1つだけ、1〜2日ようすを見てからにしてください。
Q. どれくらいで落ち着きますか?
どれくらいで、という数字は今回の出典には出てきませんでした。ただ、環境の変化で起きている面が大きいので、暖房の使い方や湿度が落ち着くと、変わってくることはあります。数日で判断せず見てあげてください。
Q. ゆらぎ肌と敏感肌は違うものですか?
指す範囲が違います。敏感肌はもともと刺激に弱い状態で、季節に関係なく反応します。ゆらぎ肌は季節の変わり目などに一時的に不安定になる状態を指す言葉です。両方に当てはまる方もいます。
Q. 季節の変わり目の肌荒れは、毎年くり返すものですか?
そう感じている方は多いようです。ただ、環境が関わっている面が大きいので、暖房の使い方や部屋の湿度、お風呂の温度など、条件のほうを変えられる余地はあります。体質だと決めてしまう前に、環境を1つずつ見直してみてください。
Q. 秋の肌荒れがニキビっぽいのですが同じですか?
同じとは限りません。赤みやブツブツが数日たっても引かない、ジュクジュクしているといった場合は、自分で判断せず一度みてもらってくださいね。
まとめ|足すより先に減らす

この記事の主張は、ひとつだけです。足す前に、減らす。
・ゆらぎ肌は病名ではなく、季節の変わり目に不安定になる状態を指す言葉
・正常な肌の人でも、乾いた室内に6時間いるだけで肌の状態は変わる
・不安定なときに新しいものを複数足すのは、いちばんやってはいけないこと
・お風呂を短く、湿っているうちに保湿、ローションよりクリーム。持っているものでできる
調子が悪いときほど、何かしたくなりますよね。その気持ちは分かります。でも、いま肌がいちばん求めているのは、たぶん新しい何かではありません。落ち着くまで、そっとしておいてあげてください。
【参考文献】
・『Dermatologists’ top tips for relieving dry skin』(American Academy of Dermatology)
・『Easy Steps for a Simple Skin Care Routine』(Cleveland Clinic)
・『Effects of winter indoor environment on the skin: Unveiling skin condition changes in Korea』(PMC)
・『Transepidermal water loss (TEWL): Environment and pollution—A systematic review』(PMC)
