その手を、いったん止めてほしいのです。
レチノールは、たしかに使いはじめに肌が慣れていく過程があります。でも、すべての赤みや皮むけが「慣れの途中」とはかぎりません。我慢して続けていい反応と、いますぐ休むべき反応は、はっきり分かれています。その境目を知らないまま塗り続けてしまうことで、つまずいてしまう方が多いのです。
この記事では、その見分け方を最初にお伝えします。そのうえで、つまずかない始め方と、脱毛を考えている方に必要な注意までまとめますね。
INDEX
レチノールの皮むけ、みんな同じところでつまずいている

夜のスキンケアでチューブを手に取ったまま、塗るか塗らないか迷う。そんな夜を過ごしている人の本音が、こちらです。
・皮がむけてきた。これって効いている証拠なのか、肌に合っていないのか分からない
・低濃度から始めたのに、それでも赤くなってしまった
・頻度を落としても反応が出る。どのペースが正解なのか分からない
・人と会う予定があるのに、顔が粉をふいている
・落ち着いて肌の調子が良くなったあと、このまま続けていいのかも分からない
情報を調べるほど「好転反応だから続けて」と「すぐやめて」の両方が出てきて、余計に迷ってしまいますよね。まずは、この成分が肌で何をしているのかから整理しましょう。
レチノールとは?ビタミンAの一種で、肌の生まれ変わりを助ける

レチノールは、ビタミンAの仲間にあたる成分です。化粧品にも配合されていて、エイジングケアや毛穴の悩みでよく名前を見かけます。
アメリカのクリーブランド・クリニックの解説によると、レチノールには肌の細胞がつくられるはたらきを高める、毛穴の詰まりをほぐす、古い角質の生まれ変わりを助ける、コラーゲンがつくられるのを促す、といったはたらきがあるとされています。表面をごまかすというより、肌がもともと持っている生まれ変わりのサイクルにはたらきかける成分、と考えると分かりやすいですよ。
ここで大事なのが、この生まれ変わりのペースが一時的に速くなるという点です。ふだんよりも早く角質が入れ替わるので、そのあいだは肌がゆらぎやすくなります。皮むけや乾燥が起こりやすいのは、このためです。
なお、レチノールとよく似た名前で「レチノイン酸(トレチノイン)」というものがあります。こちらは医薬品にあたるもので、医師の管理のもとで扱われます。はたらきが強いぶん、扱いも慎重さが求められるものです。ドラッグストアや通販で買えるレチノール化粧品とは別のもの、と覚えておいてくださいね。
つまり、使いはじめの反応そのものは、めずらしいことではありません。ただし「めずらしくない」と「我慢していい」は、まったく別の話です。次の章がこの記事の中心になります。
レチノールの皮むけはA反応?それとも肌トラブル?

化粧品の世界では、レチノールを使いはじめたときの一時的な反応を「A反応」と呼ぶことがあります(医学用語というより、慣用的な呼び方です)。ただ、この言葉があるせいで、どんな症状も我慢すべきだと思い込んでしまう方が少なくありません。
見分けの手がかりを整理します。
| 慣れの過程に近いサイン | 休むべきサイン | |
|---|---|---|
| 症状 | 軽い乾燥、うすい皮むけ、少しのつっぱり | 強い赤み、ヒリヒリした痛み、腫れ、ジュクジュク |
| 出かた | 塗った翌日にうっすら。数日で落ち着く | 塗るたびに強くなる。範囲が広がる |
| 時期 | 使いはじめの一時期だけ | いつまでたっても落ち着かない |
| 日常生活 | 保湿をすれば過ごせる | 眠れない、化粧できない、水がしみる |
右側にひとつでも当てはまるなら、慣れの途中とは考えないでください。いったん中止して、肌を休ませましょう。痛みは、続けていいという合図ではありません。
アメリカのクリーブランド・クリニックによると、使いはじめに出る反応は一時的なもので、肌が新しいケアに慣れていくにつれて和らいでいくとされています。裏を返せば、いつまでも落ち着かない、どんどんひどくなるという状態は、その範囲から外れているということです。
判断に迷ったときの基準はシンプルです。迷うくらいなら、休む。レチノールは急いで結果を出す成分ではないので、数日休んでも何も失いませんよ。
では、休んだあとはどうすればいいのでしょうか。肌が落ち着くまでは保湿だけのシンプルなケアに戻して、赤みやヒリつきがすっかり引いてから、前より少ない頻度で再開してみてください。週に2回で反応が出たなら、次は週1回から。それでも出るようなら、その製品はいまの肌には強すぎるのかもしれません。より濃度の低いものに切り替えるか、しばらく距離を置くという選択もありますよ。休むことは失敗ではありません。肌との対話です。
レチノールで皮膚科に相談する目安

肌を休ませても戻らないときは、無理をせず専門家の力を借りてください。次のようなサインが出ているときが、その相談どきです。
・数日休んでも、赤みやヒリつきが引かない
・痛みがある、腫れている、ジュクジュクしている
・症状の範囲がどんどん広がっていく
・しみる、眠れない、メイクができないなど、日常生活に支障が出ている
こうしたときは、自己判断で塗り重ねずに皮膚科で診てもらいましょう。使っている製品を持っていくか、写真に撮っていくと話が早いですよ。「たかが化粧品で受診してもいいのかな」とためらう方もいますが、肌トラブルは皮膚科にとってごくありふれた相談です。遠慮はいりませんよ。
レチノールの正しい始め方|少しずつ・夜に・保湿とセットで

つまずく原因のほとんどは、成分そのものより、始め方の急ぎすぎにあります。皮膚科の情報をもとに、順番を整理しますね。
1. まずパッチテスト。腕の内側などで試して、肌に合うかを確かめます
2. 数日に1回から。毎晩の使用は避けて、はじめは間隔をあけて様子を見ます
3. 夜に使う。日中を避けるのは、肌が紫外線の影響を受けやすくなるためです
4. 量はパール粒くらい。顔全体にうすくのばします。目や口のまわりは慎重に
5. 保湿で仕上げる。毛穴を詰まらせにくいタイプの保湿剤を重ねます
6. 慣れてから頻度を上げる。問題がなければ、少しずつ回数を増やしていきます
急ぎたくなる気持ちは、よく分かります。ただ、この成分で大事なのは回数より継続です。肌が受け入れられるペースを保つことが、遠回りに見えていちばんの近道ですよ。
なお、他の成分と一度にあれこれ足すのも、つまずきのもとになります。新しいものを試すときはひとつずつ。スキンケアの基本の順番は、▶︎肌タイプ別・朝のスキンケアの基本3ステップにまとめています。
毛穴の目立ちが気になってレチノールを選ぶ方も多いですよね。古い角質の生まれ変わりを助けるはたらきがあるので、毛穴まわりのざらつきが気になる方に選ばれやすい成分です。ただ、詰まりを一気に押し出そうとする使い方は逆効果になりがちです。こすらず、頻度を守って、時間をかけていくほうが、結果的に肌の負担が少なくてすみますよ。
もうひとつ、始める時期のこと。大切な予定がある週の直前に新しい製品を試すのは避けたほうが安心です。人と会う約束が続くときは数日前から使用を控えておくなど、肌に余裕のあるタイミングを選んでくださいね。
レチノールを使うときの4つの約束

始め方が分かったところで、使っているあいだ守ってほしいことを4つにしぼりました。
・日焼け止めを毎日塗る。レチノールを使う時期は肌の状態がゆらぎやすく、紫外線の影響を受けやすくなります。夜に使うぶん、日中の備えがセットです
・こすらない。洗顔でゴシゴシしたり、スクラブやピーリングを重ねたりしないでください。むけかけた皮を無理にはがすのも避けましょう
・重ねすぎない。刺激になりやすい成分を同じ晩に重ねると、肌の負担が一気に増えます。組み合わせに迷うときは、日をずらすのが安全です
・妊娠中・妊娠の可能性がある方は、いったん使用を控えて主治医に相談する。海外の皮膚科学会も、この時期はレチノイド類を使わないよう示しています。授乳中の方も、自己判断で続けず相談してくださいね
とくに1つ目は、レチノールを使うほど大切になります。せっかく肌の生まれ変わりを助けているのに、紫外線でダメージを重ねてしまってはもったいないですよね。
レチノールを使っていると脱毛は受けられる?

ここは、脱毛サロンだからこそお伝えしておきたいところです。
レチノールを使っている時期の肌は、生まれ変わりが速くなっていて、ふだんより敏感にかたむいています。その状態で光のお手入れを受けると、赤みやヒリつきが出やすくなることがあります。そのため、脱毛のご予約がある時期は、施術の前後でレチノールをお休みいただくのが一般的です。
目安として、次の流れを覚えておいてください。
| タイミング | レチノールの扱い |
|---|---|
| 施術の1週間ほど前から | いったんお休みする(目安) |
| 施術の当日 | 使わない。保湿と紫外線対策を中心に |
| 施術のあと | 肌の赤みやほてりが落ち着いてから再開する |
お休みする期間は、肌の状態や使っている製品、そしてサロンやクリニックの方針によって変わります。自己判断で決めず、カウンセリングのときに「レチノールを使っています」と伝えてください。ここを申告しておくと、当日の肌の状態に合わせて安全に進められます。予約先の案内がある場合は、そちらを優先してくださいね。
ラココでは、やわらかな産毛から、しっかりした剛毛さんの毛まで、痛みに配慮した光脱毛でケアしていきます。なお、赤みやヒリつきが強く出ている時期は、肌の状態によってはその日の施術をお受けできない場合があります。肌が敏感になりやすい方や、今の肌状態で受けられるか不安な方は、まずカウンセリングで気軽に相談してみてくださいね。
脱毛と紫外線の関係については、▶︎脱毛中の日焼けがNGな理由もあわせてどうぞ。成分の話をもっと知りたい方には、▶︎PDRNとは?海外で話題のサーモンDNAをやさしく解説もありますよ。
レチノールに関するよくある質問
Q. 効果を感じるまで、どれくらいかかりますか?
変化はゆっくり訪れます。クリーブランド・クリニックの解説では、市販のレチノール製品を続けた場合、3か月ほどで変化を感じられるとされています。変化のペースには個人差がありますが、月の単位でゆっくりつき合っていくものと考えてくださいね。
Q. 皮脂やテカリにも効きますか?
毛穴や皮脂に関する話をよく見かけますが、化粧品にできることは肌を整える範囲までです。皮脂の量そのものをコントロールすると約束できるものではないので、過度な期待をせず、肌の調子を見ながら使ってみてください。
Q. 濃度はどれを選べばいいですか?
はじめての方は低い濃度から試すのが基本です。ただし同じ数字でも製品によって処方が違うので、濃度だけで決めず、肌の反応を見ながら選んでくださいね。低濃度でも反応が出る方はいますよ。
Q. 皮むけがつらいとき、メイクはしても大丈夫ですか?
むけかけた皮を無理にこすらないことが大前提です。そのうえで、保湿をていねいにしてからやさしく塗るぶんには問題ありません。ただ、痛みや強い赤みがあるときは、肌を休ませることを優先してあげてください。
Q. やめたら元に戻ってしまいますか?
レチノールははたらきかけを続けることで肌のコンディションを保っていく成分なので、やめると少しずつもとのペースに戻っていくと考えられます。ただ、無理して続けて肌を痛めるより、休みながら長くつき合うほうが結果的にうまくいきますよ。
Q. 朝に使ってはいけませんか?
夜に使うのが基本です。肌が紫外線の影響を受けやすくなるので、日中の使用は避けて、朝は日焼け止めをしっかり塗ってくださいね。
まとめ|レチノールは、我慢ではなく見極めでつき合う
覚えて帰ってほしいのは、この4つです。
・レチノールはビタミンAの仲間で、肌の生まれ変わりのサイクルにはたらきかける成分
・使いはじめの軽い乾燥や皮むけと、強い赤み・痛み・腫れは別のもの。後者は休むサイン
・始め方は、パッチテストから数日に1回、夜に、保湿とセットで。急がないことが近道
・日焼け止めは毎日。妊娠中は使用を控えて主治医に相談。脱毛の予定があるときは事前に申告を
痛みを我慢することは、肌への愛情ではありません。休む勇気を持てる人が、いちばん上手にこの成分とつき合えます。今夜もし肌がヒリヒリしているなら、レチノールはお休みして、保湿だけにしてあげてくださいね。
【参考文献】
・『Retinol: Cream, Serum, What It Is, Benefits, How To Use』(Cleveland Clinic)
・『Retinoid or retinol?』(American Academy of Dermatology)
・『Anti-Aging Skin Care: Ingredients and Routine』(Cleveland Clinic)
