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夏バテとは
夏バテとは、夏場の高温多湿な環境に体が適応できずに起こる体調不良のことを指します。気温の高い屋外と冷房の効いた室内の温度差が大きいことで、自律神経のバランスが崩れ、様々な不調症状が現れるのが特徴です。
自律神経が乱れることで、胃腸の働きが低下します。夏は冷たいアイスクリームなどの飲食物を摂取しがちですが、実はこれが食欲不振や消化不良を招く一因となります。食欲が落ちると、必要なタンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養素が不足し、だるさや全身の疲労感につながるので注意が必要です。
また、夏場は太陽光の紫外線が強く、活性酸素が体内で増加しやすくなります。活性酸素が蓄積すると、細胞がダメージを受けやすくなるおそれがあります。さらに、暑さによる発汗で体内のナトリウム、カルシウム、カリウムなどの重要なミネラル分が失われ、倦怠感がより一層強まることも。
このように、夏バテは高温多湿による自律神経の乱れから始まり、消化器系や栄養素の代謝、ミネラルバランスの異常などが複合的に絡み合うことで、様々な不調症状が引き起こされるのです。
夏バテで食欲不振になる原因
夏バテで食欲不振に陥る主な原因は、自律神経の乱れと冷たい飲食物の過剰摂取の2つです。
まず自律神経は、体温調節や消化器系の働きなど、多くの身体機能を無意識のうちに調節している重要な役割を担っています。しかし気温の変化が大きいと、自律神経のバランスが崩れて、さまざまな場所に影響を与えてしまうのです。
特に最近は、地球温暖化の影響もあり、急激な暑さがいきなり訪れます。体が十分に暑さに適応する前から猛暑が訪れるため、自律神経が乱れやすくなってしまいます。
そのような環境で屋外と冷房の効いた室内を行き来すると、自律神経が混乱を来たし、胃腸の調子を狂わせて食欲不振を招いてしまうのです。
また、暑い日に冷たいアイスクリームや冷たいドリンクを摂り過ぎると、胃腸を冷やしすぎて消化酵素の働きが鈍る可能性があります。消化機能が低下すれば、当然食欲も落ちてしまうでしょう。
このように、夏バテが原因の食欲不振は、自律神経の乱れと体の冷え過ぎが主な要因と言えます。気温の変化に注意を払い、上手に体を調節していくことが何より大切です。
夏バテによる食欲不振の際におすすめの食事
夏バテで食欲不振に見舞われた際におすすめの食事には、以下のようなものがあります。
酸っぱいもの
クエン酸を多く含むレモンや梅干し、酢の物などがおすすめです。クエン酸には唾液や胃液の分泌を促す働きがあり、消化機能の改善を通して食欲増進が期待できます。具体的なレシピとしては、南蛮漬けや梅肉の野菜炒め、酢の物などが挙げられます。
スパイスが入っているもの
スパイス類も食欲を刺激する効果が期待できます。カレー粉やしょうが、わさび、山椒、唐辛子、こしょうなどのスパイスには、交感神経を活性化させる作用があり、消化器系の働きを高めてくれるでしょう。夏バテ対策としてカレーやスパイシーな料理を食べるのもおすすめです。
薬味が豊富なもの
薬味類も食欲を促す効果が期待できるので、ぜひ積極的に摂取してみてください。みょうがや大葉、ねぎなどのさっぱりとした香りや風味がアクセントとなり、料理の味を引き立ててくれます。いつもの料理に薬味をプラスするだけでも、さっぱりとした味わいになるので、食も進みやすくなるでしょう。
温かいもの
温かい料理や飲み物も食欲不振時にはおすすめです。体を冷やさないよう、スープや温かい飲み物を摂ることで、消化器官の冷え過ぎを防げます。調味料としては、精製されたものより黒砂糖や黒酢、天然の塩などを使うと、体を温める作用がより期待できるのでおすすめです。
夏バテの食欲不振対策となる食べ物
上記では食欲がない際のおすすめの食事をご紹介しましたが、ここからは具体的にどのような食べ物を摂ると良いのかご紹介していきます。
夏野菜
トマトやきゅうり、ナス、とうもろこしなどの夏野菜は、暑さで発汗が増え失われがちなカリウムや水分を手軽に補給してくれます。特にトマトには肌への紫外線ダメージを予防するリコピンやビタミンCも豊富です。暑さで受けたストレスからも体を守ってくれる万能食材です。
魚介類
良質なタンパク質を多く含む魚介類は、疲労からの回復を助けてくれます。揚げ物ではなく焼いたり茹でたりするのがおすすめ。特にかまぼこなどの低脂質なタンパク源なら、消化への負担も少なく食べやすいでしょう。
発酵食品
発酵食品に含まれる乳酸菌は、腸内環境を整えることで自律神経の乱れを正常に導いてくれます。みそ汁なら、乳酸菌の他にも食物繊維、水分が一緒に摂取できるため、消化を助ける働きも期待できます。夏バテ対策に適した優れた食品と言えます。
梅干し
ビタミンCを豊富に含む梅干しには、免疫力の向上や肌の健康維持、抗酸化作用など多くの働きがあります。調理の必要がないので、間食やおやつにもおすすめです。
レモン
レモンにも梅干しと同様、ビタミンCが豊富に含まれています。ストレス緩和や疲労回復の効果が期待でき、免疫力アップにも一役買ってくれるでしょう。夏バテ対策に積極的に取り入れたい食材です。
夏バテによる食欲不振を予防する栄養素
ここからは、食欲不振を予防する栄養素をご紹介します。
ビタミンB1
「疲労回復の錠剤」ともいわれるビタミンB1は、エネルギー源の糖質の代謝を助けてくれます。夏場は汗をかくことでビタミンB1が失われやすいので、豚肉やうなぎ、大豆、玄米などからしっかりと補給しましょう。ビタミンB1が不足すると夏バテが悪化する可能性が高いです。
アリシン
香りの強いねぎやにんにく、にらなどに多く含まれるアリシンは、ビタミンB1の吸収を促進する働きがあります。B1と相乗効果を発揮し、疲労回復を後押ししてくれます。
クエン酸
新陳代謝を活発にし、エネルギー効率を良くするクエン酸には疲労軽減作用があります。柑橘類に多く含まれるほか、ジャガイモ、梅干し、シソなどの食材からも手軽に摂取できます。
ビタミンC
夏バテで低下しがちな免疫力を高め、ストレスの緩和にも役立つビタミンC。ピーマンやブロッコリー、カリフラワー、果物類を意識的に食べるようにしましょう。水溶性ビタミンなので過剰摂取への心配も少ないです。
タウリン
体温や血圧の調節に重要な役割を果たすタウリンは、暑さで乱れがちな体の状態を整えてくれます。イカ、タコ、貝類などの魚介から上手に摂取しましょう。
タンパク質
筋肉の修復や持久力の維持に欠かせないタンパク質を、肉や魚、卵、大豆製品、乳製品から適切に摂ることが大切です。満腹感も得られるため、食欲不振の予防にもなります。
夏バテの食欲不振の際に避けるべき食事
夏バテで食欲がないときには、避けた方が良い食事もあります。
油分の多い料理
夏バテで体の機能が低下している際に、油分の多い料理を摂取すると胃腸に過剰な負担がかかります。揚げ物などの油濁った料理は避け、さっぱりとした食事を心がけましょう。消化吸収がスムーズに行われなくなり、かえって夏バテが悪化する恐れがあります。
脂質の多い料理
脂質が多く含まれる肉やうなぎ、えびなどの料理も、夏バテ時の食欲不振対策には向きません。胃腸に重い負担をかけるだけでなく、体内でも消費されづらく、一時的な活力は得られても持続しません。赤身の肉や魚介類を中心とした上質なタンパク源を選ぶようにしましょう。
暑さで食欲がないからといって食べないダイエットをするのはNG
暑くて食欲がないからと言って、食事を取らないのはNGです。食べずにいると、効率的にダイエットできるのではないかと考える方も多くいるでしょう。しかし、食事をしなければエネルギーを消費する力が得られないため、一時的に痩せても大きくリバウンドする可能性が高いです。
また無理なダイエットは思わぬ健康被害を招きかねません。食べないでいると、栄養不足から身体に様々な不調が現れる可能性があります。最後に、食べないダイエットの大きなリスクを解説しておきます。
食べないダイエットから起こる主な症状
主な症状としては、頭痛や吐き気、貧血、骨粗しょう症のリスクの高まりなどが挙げられます。さらに糖質を極端に制限すれば、低血糖によるイライラやめまい、頭痛などが生じやすくなります。適切な栄養摂取なしでは、健康的に痩せることは難しいのです。
免疫力の低下
食べないダイエットでは栄養が不足し、免疫機能が低下してしまいます。感染症にかかりやすくなったり、けがの回復が遅れたりするだけではなく、全身の倦怠感にも見舞われるでしょう。
腸内環境の悪化で免疫力がさらに落ち、発熱時の体の回復にも対応できなくなります。単なる風邪でも長引いたり、重症化したりする恐れがあり、日常生活に支障が出かねません。
さらに筋力低下による血行不良で体温が下がれば、免疫力は一気に30%も減少すると言われています。
月経不順や不妊のリスク
無理な食べないダイエットは、女性の月経周期や妊娠の可能性にも影響を及ぼしかねません。ミネラル不足でホルモンバランスが崩れると月経不順に陥り、さらに飢餓状態が続けば無月経や無排卵になる危険があります。
一旦この状態に陥ると、生理の回復が困難になる場合もあり、最悪不妊につながる可能性もあるのです。また長期間放置すれば、がんのリスクも高まってしまいます。仮に妊娠できても、低体重のため低出生体重児のリスクが高くなります。
摂食障害のリスク
過度な食べないダイエットを続けていると、気づかぬうちに摂食障害に陥ってしまう恐れもあります。拒食症や過食嘔吐の症状が現れ、最悪の場合は命に関わる重症化の恐れもあります。
また、うつ病を発症しやすいとされており、メンタルヘルスの観点からも注意が必要です。健康とスリムボディを両立させるには、適切な栄養管理が欠かせません。
肌や髪への悪影響
食事から得られる栄養素は、肌や髪の質を左右する重要な要素です。食べないダイエットで栄養が不足すれば、肌荒れやたるみ、パサつきなど、美しさを損なう恐れがあります。
せっかく理想のスリム体型を手に入れても、肌や髪の状態が悪化すれば元も子もありません。健康で美しくあり続けるためには、バランスの良い食生活を心がける必要があるのです。
このように、無理な食べないダイエットにはさまざまなリスクが潜んでいます。健康面だけでなく、美しさを損なう可能性もあるため、「夏で暑くて食欲がないからダイエットできる」と考えるのは非常に危険です。今だけ手に入れられるボディではなく、将来的な体への負担も考えた上で適切なダイエットに取り組みましょう。
夏で食欲がないときでも栄養はしっかり摂ることが大切
夏の猛暑で、食欲が減ってしまうのは仕方ないことだと言えるでしょう。しかし、だからといって食事をしなければ、さまざまな悪影響が体に負担をかけてしまいます。
今回は食欲がない時でも食欲を促す効果が期待できる栄養素や食べ物をご紹介しました。毎年急激な暑さで食欲がなくなることもあるかもしれませんが、自分の健康を守るためにもぜひ積極的に摂取してみてください。