今回は、紫外線から肌を守るために配合されている紫外線吸収剤についてくわしく解説するとともにメリット・デメリット、紫外線散乱剤との違いなどについても紹介します。
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紫外線吸収剤とは?

紫外線吸収剤には紫外線を吸収し、熱エネルギーや赤外線などの光エネルギーに変換して放出する働きがあります。紫外線が肌に直接届きにくくなるため、紫外線による肌トラブルから守ることができます。紫外線吸収剤は日焼け止めをはじめ、ファンデーションや化粧下地など、さまざまな製品にUVカット成分として配合されています。
紫外線吸収剤として作用する主な成分には、以下のようなものがあります。
| 成分 | 働き |
| メトキシケイヒ酸エチルヘキシル | UV-Bを吸収、退色防止 |
| ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン | UV-A、UV-Bを吸収、紫外線吸収剤の光安定化 |
| ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル | UV-Aを吸収、退色防止 |
| t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン | UV-Aを吸収、退色防止 |
| ポリシリコーン-15 | UV-B吸収 |
紫外線散乱剤のとの違い
紫外線吸収剤とよく比較される成分に「紫外線散乱剤」があります。紫外線散乱剤には成分表面で紫外線を反射・散乱させて紫外線から肌を守る働きがあります。「ノンケミカル」と表示されている日焼け止めなどには、この紫外線散乱剤が使用されています。
ノンケミカルとは化学物質(ケミカル)を含まないという意味で、紫外線散乱剤には酸化チタンや酸化亜鉛など天然鉱物由来の成分が使われます。肌への刺激が少ない傾向にあることから、肌のデリケートさに悩んでいる方に好まれています。
紫外線吸収剤配合のUVケアアイテムを使用するメリット

日焼け止めをはじめとしたUVケアアイテムに、紫外線吸収剤が使用されているとどのようなメリットがあるのか、具体的に解説していきますね。
白浮きせず自然な仕上がりが期待できる
日焼け止めをつけると白くなるのが悩み、という方も多いでしょう。紫外線吸収剤は透明の化学成分のため、たっぷり使用しても白浮きしないメリットがあります。例えば化粧下地やファンデーションに配合されていた場合、本来の色みが反映された自然でキレイな仕上がりが期待できますよ。
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テクスチャーが軽く、使い心地が良い
テクスチャーが軽く、使い心地がいいのも紫外線吸収剤のメリットです。日焼け止め独特の皮膜感って嫌ですよね。紫外線吸収剤を配合したものなら、日焼け止めにありがちな皮膜感や厚塗り感がありません。ファンデーションや下地に配合しても、もともとの使用感を損なわないみずみずしくなめらかなテクスチャーを実現できるんです。
汗・皮脂に強く紫外線防止効果が高い
紫外線吸収剤は汗や皮脂に強い特徴があり、夏場の紫外線対策やスポーツシーン、海やプールなどのレジャーシーンで重宝されます。定期的に塗り直しは必要ですが、水の中に入ってもUVケア効果を維持できる点はメリットですよね。紫外線防止効果が高く、長時間外で過ごしても効果が持続しやすいのは、紫外線吸収剤のメリットです。
紫外線吸収剤は肌の負担になる?悪者扱いされるわけ

紫外線吸収剤は仕上がりやテクスチャー、UVカット効果としても優れている成分ですが、注意しておきたいデメリットもあります。
人によっては肌トラブルの原因になる
紫外線吸収剤の紫外線を吸収する性質が、肌に負担になる方もいます。一種の化学反応が肌の上で起こると考えれば、人によって何らかの影響を受ける方がいるのもうなずけますよね。アレルギー反応が心配されることもありますが、これはどのような成分に対しても等しくあるリスクなので紫外線吸収剤だけを過剰に心配する必要はありません。ただし、もともとアレルギー体質の方は注意したほうがよいかもしれません。
体や自然への影響が心配されている紫外線吸収剤もある
紫外線吸収剤の中でもオクチノキサート(本記事で紹介した成分ではメトキシケイヒ酸エチルヘキシル)は、経皮吸収することがヨーロッパの研究でわかっていて、それにより内分泌かく乱の懸念があるとして安全性に関するさらなる研究が進められています。
またオクチノキサートは、海中のサンゴの白化に影響をおよぼしているのではないかとされ、ハワイなどではオクチノキサートを含む日焼け止めの使用・販売が禁止されているんです。2025年現在、日本で禁止されている成分ではありませんが、気になる方は避けたほうが安心かもしれませんね。
丁寧に落とす必要がある
紫外線吸収剤は汗や皮脂に強い分、丁寧に落とさないと肌に残ってしまう心配があります。どのような化粧品でも、落とし残しがあると肌トラブルの原因になりますよね。紫外線吸収剤配合のアイテムも例外ではありません。お顔の場合、メイクと一緒に通常のクレンジングや洗顔をすれば十分落とせます。体はボディソープで落とせるものが多くなっていますが、落ちにくい場合はクレンジングなどを併用し、しっかりと落としきるようにしましょう。
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紫外線吸収剤と紫外線散乱剤を一覧で比較してみよう

紫外線吸収剤と紫外線散乱剤のメリット・デメリットをわかりやすく一覧でまとめました。自分にはどっちがあっているかわからないという際の参考にしてくださいね。
| タイプ | メリット | デメリット |
| 紫外線吸収剤 | 白浮きしない軽いつけ心地 汗・皮脂に強い 紫外線防止効果が高い | 肌トラブル、アレルギーの心配 紫外線吸収剤によっては体内、自然への懸念があるものも 落ちにくいので丁寧に落とす必要がある |
| 紫外線散乱剤 | 肌が敏感な方でも使いやすい 環境への負担が少ない 落としやすい | 厚ぼったくなりやすい 白浮きすることがある 紫外線防止効果が低め 落ちやすい |
紫外線防止効果を高める日焼け止めの塗り方

紫外線吸収剤、紫外線散乱剤いずれが配合されている日焼け止めでも、正しく使用しなければ十分な効果は得られません。
そこで日焼け止め効果を最大にする、塗り方ワンポイントアドバイスを紹介します!
【顔の場合】
OK!
| 額、鼻、両ほお、あごの5箇所に日焼け止めをのせ、全体へと伸ばしたあと、両手で覆うように押さえてなじませる。ファンデーションをつけるときは一度塗りでOKですが、日焼け止めだけで過ごす際は日の当たりやすい額、鼻、ほお骨は重ね塗りしましょう。 |
NG!
| 日焼け止めを手のひらに広げて、それをお顔につけるのはNG。ムラになりやすく、十分な量の日焼け止めがつかない可能性があります。 |
【体の場合】
OK!
| 容器から直接体に出しましょう。線状に何本か出したら、それを全体に塗り広げます。 |
NG!
| 刷り込むように塗るのはNG。「日焼け止めで皮膚を覆う」イメージで塗りましょう。少し多いかな?と思うくらいの量がベストです。 |
紫外線吸収剤にはメリットもデメリットもある!自分にぴったりのUVケアを選ぼう

紫外線吸収剤は使用感が良く、白浮きもしないため、とても使いやすい日焼け止め成分です。ただ、肌に敏感な人に取っては、肌トラブルやアレルギーなどの不安があるかもしれません。メリット・デメリットをよく確認して、自分が使いやすいタイプを選ぶようにしてくださいね。
